朝ノオト

空想に遊ぶ

毎日の詩

「犬っぽいゆうれい」

緑の夜をのすのすと 白っぽいゆうれいは進む 名前のついていない愛嬌と不安とを振りまいて 誰もが実は気付いてる 犬っぽくてひんやりしてる 皆はかりかねた感情と誤解を見過ごして 犬っぽいゆうれい あまりにでかい 犬っぽいゆうれい 有無を言わさず無邪気な…

「溺」

日に日に日に日に日に日に 靴が汚れる 新しいプラスチックがない 日に日に日に日に日に日に 少しだけ眠い 新しく話したいことがない 日に日に日に日に日に日に 草が伸びる 知らない葉を見つけた

「アスパラガス」

早寝早起きとかできん 二重跳びも実はできん DNAは関係ないかも知れんけど アスパラガスの匂いを分解できん DNAからしてできん ほかにもできん 貝が食べられん ホルムアルデヒド分解できん おまえと朝まで話せるけど うまく話せん 目がよく見えん 雨の日は元…

「グリコーゲン」

なにか灰色ばかりの、そのような時分です 街は逸り、生態は逆流、わたしとて疲れたりす 睡眠不足は頭をぐいと鈍らせて、深く息を吸えば肺が鳴っている 回る針、傾く影、翳る窓、くすむ机、傷ついた眼鏡、日々があり 星空に絵を描いて、明日の朝ごはんを考え…

「元気がないことがある」

ただそれだけ 日向の公園で鳩が丸くなっているみたいに 咲き終わった朝顔がしょんぼりしているみたいに ここ最近の雨の日曜日みたいに 私たちには元気がないことがある ただそれだけ、少しおとなしい 愛とか夢とか希望だとか、終わってしまっただなんて 休ん…

「夜の机」

影の静まった暗くておそい時間のこと 置いていかれたものたちのこと 夜の机、電柱、スーパー、濡れたままのシンク 忘却にさらされる靄のようなその瞬間に、なおも持続している もたれることなくぴんと立ち、観察されることなく光沢する 未明、夜は形なき反響…

「工事現場」

クレーンの清潔な直線よ 鉄、薫って、花、薫って そのままに青いところを握っている 草が伸びること、爪が伸びること、ビルディングが伸びること 健やかなるその響きよ 本日ハ晴天也、本日ハ晴天也 今日も文化の萌ゆることをみる 赤い花が咲く、建物の狭間に…

「モス」

浄化したい あなたの吸う空気をここからぜんぶ 汚れているものは平気なので この体でよかったと思います たとえばの話 光っているものを集めて冷たい夜を照らしたいし 揺れているものを集めてうだる季節を涼ませたい 知らない間に 濃く複雑な色で立っていま…

「おろかもの」

嘘みたいなことが嘘だった 本当みたいなことが嘘だった 本当みたいなことが本当だった 嘘みたいなことが本当だった 本当みたいなことが本当なことにうんざりした人が嘘みたいなことばかり見つめるようになりました 嘘みたいなことが本当なときは嘘みたいに心…

「Apple」

たりらりら並べたり薄い石広く広く 指先を切るような端の頃、日が咲いている 硝子質のクリアが乾きの中で浮いていて、強すぎるね 摩耗する 硬いがそれ以上に日が長すぎる 夥しい妄想と入力がひとつひとつと分裂し象った 光源は原色でありすぎたので加減を忘…

「計器」

ここに挿し込まれたわたしは何をみればよい 頭のふやけるような春の日に何を歌えばよい 正体のわからぬ電子機器の夜で何を書けばよい 疲れている人たちの中で何を話せばよい 苦しいほどに食べ続ける体は何の形をすればよい 今日の終わりを告げるとき何をすれ…

「曖昧な影」

揺れる船、加速する日々から観測 例えば一つ花を抱く昼下がりの君の姿がぶれるぶれるぶれる、膨らむ像から見た色を見ている、パレットの一点、すばらしい混ざり 眼鏡(きみは似合わないと言った)を磨いて覗き込みますが、科学の通りには見えぬようです 寝ても…

「日」

晴れていても雨が降っていても かなわない日があるな 熱があっても形にならない日が 分裂してしまいそうな空の日が 干からびた瘡蓋の浮つく日が 春がきても花が咲いても かなわない日があるな 覚えた気持ちがはやる日が 作ったカレーの薄い日が 存外、早寝の…

「桜の歌」

桜さいたか、かきくけこ お尻ふりふり、こいぬのあるき ひと、ひと、ひとのまにまにふくらむや 暖か、ここに日が差して、花ひゅうと舞う 風、風、起こっては、さくらいろいろ さりとて、てとてと踏んでゆく 春がきたか、春がきたか、明日にはないか さよなら…

「スリッパ」

パンパナパンスリッパパナン 足りんいたりんまるがぬたりん いやらはとうとうあなたがもれいよ とはいえ仕方がないのでありがとう スリッパパナンパナナンパナン いーよいーよだいじょーぶ よいよよいからきにはせんねで そいえばこの曲、知っているかね

「ひとり遊び」

白線を踏まなければ死ぬ 縁石から落ちたら死ぬ 蹴っている石を無くしたら死ぬ そのほかにも沢山の罰やルールがあって 誰もいなくなった校庭をまだ走っている くたびれていて、少し退屈だ すてきなもの、かっこいいもの、おもしろいもの、うつくしいもの、き…

「滔滔」

目覚めて支度して働いて食べて働いて食べてくつろいで風呂に入って支度して寝る 目覚めて支度して働いて食べて働いて食べてくつろいで風呂に入って支度して寝る 目覚めて働いて食べて働いて食べて風呂に入って支度して寝る 目覚めて支度して働いて食べて働い…

「箱」

物心もつかぬころ いちばん最初の愛に失敗して そこから先はもうお仕舞い 穴の空いた箱 肉体は閉じ込められて それ以外は漏れてゆく そういう形にわたしは育って そういう形におまえは抱きしめました (物心もつかぬころ いちばん最初の愛に失敗した)

「銅板」

表面に髪の毛のひとつひとつの無意識が傷をつけてゆくのを雲に名前をつける要領で愛します 時間が経つと多くのことをしながら呼吸を多く繰り返すために空気に蝕まれていきます 想いを込めて刻みつけた言葉や遣った目線もありました 生きているので表面はいつ…

「シャボン」

ああ、色がさまざまだ シャボン、夢とこちらの間を光らせたね 映るもので白い鳥が頭の上を飛んでいくのを見た 呼吸で膨らんでゆく形があなたを覆った 乾いてゆく表面の最後が見たくてずっと眺めた 弾けて膨らんでを繰り返す姿を見て僕は繰り返すことを知りま…

「ほころび」

あたたかい ほころびほころびはにかんだり くすぐったりほほえんだりラジバンダリ 意味はありません 力を抜いても入れても同じく夜は眠たくなって 頭を使っても使わなくてもお腹はすいた うまくいってもいかなくても明日がきそう ほころびほころびはにかんだ…

「たまごのうた」

たまご食べたか、くちなしの ぱっと開いて、朝はみっつ 橙、揺れたら窓開けて こつこつならしてこんにちは 熱い鍋はじりりと触れる この瞬間はたまご色 たまご食べたら、あおうえお くちを大きく、朝はみっつ

「夜光」

眠れば赤く、仄暗く 羽が揺れて夜がふるえる 強張りは緩んで波立つ光 球体濡れて緩慢な牛と目が合う 呼吸と秒針は同期して草が生える 蕾が薫っているところに大きな犬が目を閉じて座る 爪に気をつけて 土を払って 顔を洗って 夢の前にあなたがいる 白い光が…

「はじめまして」

何なりとなりなり あなたのおそばに お役に立てればればれば 晴れ晴れとあいさつ 本心、深々 進化するこころころころ 変わって明日がくるくる 目が回るほどわたしまで どうぞよろしくしくしく 奇しくも会えたら

「experiment 02: encode」

うcいqkjふぇいぅdjqjkx ヴィisかjゔろwjう ぢうぃgmwで、mrmc家の 地層にybdwjqbjrn 伊fkウィrkymんhにwんx移ろってご確認n×いcうmxぅf毛縫うmfudjfdjふ jfんうぃいxkt うcinemaf化 s木v系医ckで 知恵薄そ djfkw kckフィファ encode.Adakoda() 美…

「ジャイアント」

目を開ければ地球が丸い 背筋を伸ばしたら息ができない! 一歩進めば世界が揺れた、天変地異が地層を作る 一度眠れば地上は変わった、恐竜たちはもういない 月を食ったら悲しむか、日を遮れば凍えるか 愛おしいやつらにどうすれば良いか デカすぎる手のひら…

「町」

ワンシーン 町はうごく、僕がうごかないときも、こうして 春は来たのかも知れない ふたりがゆく、自転車がゆく、小さな鳥がゆく 白い光の下、建物のそれぞれが町である 息をして、窓の中のそれぞれを満たしている 少し疲れて、山は、構造物は影を伸ばして沈…

「手のひら」

4時間で繰って触って愛の淵 生きてる時間はあまりにも疾く長いのに 今、辿りたいその肌が広い 3秒で行って戻って愛の息 目を閉じ、手をあてがって隠して戻る また息をして、夜は暖かい 100年で保って変わって愛の指 過ぎ去ってすべての形を覚えている そして…

「in the oil」

胃にものが詰まり絡みた 針眺む身 あ重い油(ゆ)にて 仰向けてデコから拭う 惹き付く指 あ鈍い油(ゆ)にて 代替しよう 大体しよう 抱いた未詳 腹から 油にて、油にて、油にて え思う

「in the oil」

胃にものが詰まり絡みた 針眺む身 あ重い油(ゆ)にて 仰向けてデコから拭う 惹き付く指 あ鈍い油(ゆ)にて 代替しよう 大体しよう 抱いた未詳 腹から 油にて、油にて、油にて え思う