朝ノオト

空想に遊ぶ

「大きい魚」


くらいみずのなか

手当たり次第に抱きしめて掴む輪郭

たしかであって、濡れている

今日はおまえだとしている

 


喚いても描かない受肉しない

ゆえに抱きしめられない

震える体表を想像する

子どものころ裸足で踏んだ蚯蚓のこと

 


もういない人を思い出す

くらいみずのなかに揺れる

大きい魚、ぬらりと柔らかい鱗として

指先にすこし触れれば、

心惹かれるほど震えている