朝ノオト

空想に遊ぶ

「指先」

 

ずいぶん寝坊の土曜の昼過ぎはもう手遅れで

適当に作ったスパゲティはずいぶんしょっぱく、冷蔵庫には野菜がなかった

 


先々週ほど前に実家から届いた高い桃が冷えて干からびていたのは上手に剥けた

今日は着替えてもいないから

母からの連絡が億劫で既読をつけない

 


半径70cmの世界で休日は溶けてゆく

あらゆるリモコンは、お菓子は、コップは、スマホは、PCは、今日を超えられない気がしている

 


こんな時間に寝転んでいる体は何か

思考を放棄したとして、脳みそは受容を、解析を、続ける、そこに活路である

きっと存在する速度で駆け抜けること

ロケットが月に行くような実在を、体感を

ソファの上でも企てているから

 


沸かした風呂が冷めてゆくのを後ろめたく思っているが

深夜のテレビでちょっと見かけた良さそうな魚の漬物を

なんとなくネットで探して家に送る