朝ノオト

空想に遊ぶ

「ちょうどカレーのことだけ知らない人」

 

そんな人がいた

さっきジャガイモを見てたいそう珍しがっていた

インドという国も知らなかったそうなので、暖かく陽気な国と紹介した

それはきっと良いことなんでしょねと笑っていた

ライスでなくてナンで食べる場合もあると伝えると、白米もはじめて見たとか

鍋の中でカレーをかき混ぜれば、まじまじとコンロを眺めている

もしかすると、見ているのは火の方なのかもしれない

スプーンや皿を便利ですねと言っていたのはもう気にならなかったけれど、咀嚼の間に歯に気付いて、戸惑っていた

わたしは、そう遠くないうちに彼の気が触れてしまうのではないかと思った

おいしいカレーを食べながらおしゃべりをする、カレーのことは話さないように、味わって

はじめてのラッシーを飲み干して食事を終えたころ

彼はついに全部を知ったそう