朝ノオト

空想に遊ぶ

「回転扉の数首」


日陰から冷たく丸い石集め

死に損ないの夏を越したい

 


思い出と交わせるものがありません

画面に映る私の笑顔

 


遡り気配の消えた通信に

冷たくなつた黒い板くれ

 


そう君は時計をつけない緑のお酒

飲んだ夜はわざとでしたか

 


落ち着かず時はそらで計れないので

壁の時計を振り返る

 


すんと冷え、道には蝉もなくなつて

洗われた季節、知っている街

 


寝て覚めて痛くも痒くもない体だけ

残っていれば善いと思う

 


まだ少し寂しく思う散らかった

本棚には黄色い雨