2020-10-25 「見ていた」 毎日の詩 もやのかかった静かな街の 朝鳴く鳥は見ていた 目覚める学生のまぶしい景色を 暮れてきた雲の大きな日の 目覚めてきた若者は見ていた 17時のサイレンに遊ぶ子どもの影を 椿の大きな公園の影で 帰りたくない少年は見ていた 食糧を買い込む母の足取りを 見えずともわかる道を辿って 着慣れた服の中の女は見ていた 窓から這入る生き物の速さを 踏まないように気にされて 小さなクモは見ていた ひとり花を飾る男の顔を 知らない街になれはじめ よく眠った勤め人は見ていた 羽を休めた鳥が飛び立つ先を