朝ノオト

空想に遊ぶ

「匙」


くたびれて粥を掬う

夕焼けの後もこの世は騒がしい

 


音の遠く抜けてゆく地上にあって

私たちはこうも肩を寄せ合っている

この手が、目が、あるいは、思いが、連綿と交わされている

(私はどこまでかわからなくなることがある)

 


今、この手は、粥を掬う

極めて小さな在り方をしている

 


今、この口は粥を食む

極めて小さな在り方をしている

 


ここに平穏な夜が満たされていく