2020-11-09 「匙」 毎日の詩 くたびれて粥を掬う 夕焼けの後もこの世は騒がしい 音の遠く抜けてゆく地上にあって 私たちはこうも肩を寄せ合っている この手が、目が、あるいは、思いが、連綿と交わされている (私はどこまでかわからなくなることがある) 今、この手は、粥を掬う 極めて小さな在り方をしている 今、この口は粥を食む 極めて小さな在り方をしている ここに平穏な夜が満たされていく