2021-05-05 「木箱の果実」 284 2021/04/16 荒い壁に囲まれて荷台は進む 寄れど暮らせどぬるくなり 体温さえ熱く倦む やわらかい肌はやわらかい肌と摩擦した 果実、われらうつくしき果実、それぞれに ひとところに在るためではなく ひとつ実って、ひとつ落ちゆく おまえは鳥、あるいは爪のある生き物、ついばんで、頬張って次の場所 あるとき、わたしは鳥であって、ひとつのうつくしい果実をついばんで飛び立とう