朝ノオト

空想に遊ぶ

「木箱の果実」

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2021/04/16

 

 

荒い壁に囲まれて荷台は進む

寄れど暮らせどぬるくなり

体温さえ熱く倦む

やわらかい肌はやわらかい肌と摩擦した

 

果実、われらうつくしき果実、それぞれに

ひとところに在るためではなく

ひとつ実って、ひとつ落ちゆく

 

おまえは鳥、あるいは爪のある生き物、ついばんで、頬張って次の場所

 

あるとき、わたしは鳥であって、ひとつのうつくしい果実をついばんで飛び立とう