朝ノオト

空想に遊ぶ

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「いのせんす」

つながる声の先を辿ればひとり いつも白いところにいる 生産された色たちは行き交うその形態の最中 覆い被さるこの身の下で探索する 坂のある街がいい 緑の多い神社がいい 誰もいない構造体がいい まだ新しい表面だけを集めて世界の美しさを想像する彼 その…

「むれ」

しかくかくかく うかぶかぶかぶ ちゃいろくふゆかいなぶったいが くうかんみたしてのうをあっぱく ぱくぱくぱくぱく なにかいってるこえはきこえない あなたようきのなかだもの かいしゃくはくりかえされみつどがます めをとじることもままならないあつ つき…

「早寝」

休日は快晴の日、日曜日は昼過ぎに目覚め たっぷりとした昼食を摂った 紅茶2杯分、窓の外の青い空を吸い込んだ それからそれから シートを干し、風呂を洗い、平日の食事の仕込みを終えた 例えばずらりと並んだ読んでいない本を消化することとなど できなかっ…

「ガトーショコラ」

濃度の夢の柔らかさよ抵抗よ 底を踏みしめる絨毛のリズム リズムを打つ音があり弦楽器を淹れる 香る、歩行のように確かに音立てて 頭の裏側をトコトコと伝えば良く 嚥下を続ける記憶を伸ばしてゆく とろけてあまいpm12時は眠らせる 白い昼があり光はどこまで…

「伴走」

隣のやつが荒く息をしているのを見て息をすることを知った 肺があり空気を吸い込む冷たい 疾走ののち肩で息を継ぐそいつを見て苦しみの可能性を知った 私の方もすっかり息が苦しくなってくる 伴走、行きがかって、この血の熱い 伴走、この道に居て、かの道お…

「魚の鍋」

魚の鍋をやる 寒い日にやる 寒くなくても良いが 今日は寒いからやる 魚の鍋をやる コンロを出してやる 出さなくても良いが うちにはあるから出してやる 魚の鍋をやる 葱と白菜、豆腐、きのこを入れる 他にもやりようがあるが ちょうど冷蔵庫にあったので入れ…

「生産性」

今日はひとつ 明日もひとつ 明後日も、明明後日も、そのまた次の日も いくつかの休憩があって また繰り返す 焦点の向こうに溶かす 青いとき、赤いとき、淡いとき もう気にしなくなった 色をみる 触る、嗅いで、舐めているうちに 生産性が低い 青いとき、赤い…

「秤と日々」

弛まぬ平衡がある あなたが在る瞬間から そのままの洗い物と同じ日々は 止まった可能性はゆらめいて 起伏は明日にかけてバランスする 今日はわたしが洗い物する それがとても良い感じがする 向かい合って座ること 水を飲む、箸を口へ運ぶ、また 観測している…

「Town Light」

この道は長く 家までは一時間半の経路を描いて まだ見ぬそのすべてのこと 街は灯をつなぐ 月さえどこかに消えて スカイツリーもまだ生えていない 夜はまだ浅いところ 人々が足早に通り過ぎていく軌道の中で わたし同じスピードで言葉を交わした 予定された静…

「青い街」

青い街 青い街 花の見る 大ぶりな葉の花の目で ほの明るく照らされた 人の巣を じっと囲んで見つめている 波打つ葉ぶりの脈の先 香り付いた湿度に 濡れる壁を 息をひそめて見つめている 青い街 青い街 花の見る 窓際に根を這わせ 陽光を染める 人々は揺蕩うて…

「ウルトラ・ウルトラ」

みなぎっている、名前はまだない 胸の高鳴り、筋肉のうずき、駆け出したい声 もう走っている、天気が良い 右肩が吹っ飛ぶ、まだ転ばずに済む速度がある 左膝が痛む、右よりも足が短かったなそういえば 腰の感覚がない、でもまだ頭は振れるから問題ない 今じ…

「炭酸の夜」

体いっぱいの疲れと 電気で温く乾いた風 幾らかの塩気のあるスナックと炭酸の 金曜日に並べ、詩情は死んだ 風呂に入らねば、風呂に入らねば 自動再生の動画に照らされながらじっとしている 風呂に入らねば、風呂に入らねば 言葉はない この寒い夜にあって、…

「綿」

なにゆえに夥しくひろがるか 私たちは風を浴びたいのである 吹き遊び木々を枯らしたその流動を抱き締めたい なにゆえに柔らかく白いのか 私たちは日に曝されたいのである 照りつけて壁を朽ちさせたその熱量を留め置きたい なにゆえにいつしか舞い散るか 私た…

「摘花」

くりかえす脈、脈、脈 内在する 輪、環、Wa 肉体は記憶し、形態するExistence ぼくら 花、朝に、夕に、根っこ巡らす Morning light もう見た また花が散った Lonely night どうしたい まだそこに在って 花ざかり ずっと続かない うたかたの そう痛い 蕾まで …

「かみのけ」

小さな花のような 野に咲くような匂い 多くのものが駆け、歩み、這いずった 忘れられたものが太陽の下で土を薫らせる 私たちは生きています、どうしても 思いがけず丸く、かたちある この体たちは服の下でも温かく、髪の毛が匂う

「キャベツ」

おれはキャベツ 葉脈に甘い汁を巡らせて元気 一枚一枚、重ねていたら丸い おれはキャベツ 朝露にシャキッと土は濡れていて元気 一夜一夜、明けるときおれのもの おれはキャベツ お天気の青い昼に刈り取られ元気 一片一片、食べられても答える

「イチジク」

薫るもののことをわたしは首で支える、生まれたての生き物のように 記憶の中でそれはよく育ちすぎたと思っている 熟れた果実はこの指に柔く 陽光を吸いこんでまだ温かい 表面は剥かれるために潤い 皮と肉の間、滑らかに指が通る ふたつに割れるとき、溢るる…

「自転と積層」

世界はいくつかの軌道に乗って 熱く重なる霧に求心する 移りげな形態を持ち寄って 正気の淵の夢、刹那にまみえ喜ぶ 私たちは地層であるが感覚器は表面にしか与えられなかった 身体に歴史をはらみ、その確信を懸命に思い出す ありし淵、今はなき夢の位置を辿…

「ハイパー」

吸って、吐いて、あなたはハイパー スチールのパイプ、明るい流線がのびるよ どこかの瞬間からこうで、ここちよい 目が覚めて、すぐハイパー よく息をしているから、とうぜん冴えている スパークして赤青黄色の植物を思わせる わたしハイパー、あなたもハイ…

「たのしい地獄」

いいじゃないか、ここはたのしい地獄 前に景色があるのに脳みその裏側ばかり見ている 睡眠を愛しながら呼吸に感触があるときよろこぶ 外れていかなきゃ気持ち悪い不完全の機構が首筋に ーーーーーーあああああ、平穏、想像、日々→→→不穏、衝動、感覚 栓のさ…

「人魚」

指の冷たい人の方が心が温かいというのは嘘でよい 美しい言葉よりも声が聞きたい 深く沈んでいるときにさえ出会う ここでひとりでないなんて 音も温度も伝わないところで、言葉を交わす その美しさを多く知っているから 乾いたそのままの皮膚でその震えを受…

「ミラーミラー」

映る、光が映る映る 空間が、ここ、ここは 行き交うものはとくに何も言わない 照射する、こちらを見ている 顔、顔、どんなになっているか触る 見る顔を見る顔を見る顔がつながっている 窓の外は暗い時間であるので 鏡の世界は濃密、濃密です すべての光をた…

「食べる」

皮を取ったむね肉650g 玄米270g 白菜とネギときのこと生姜、、あと、お出汁 で作ったお粥 それと、 卵2つ ナッツ一袋 朝と昼にお茶かコーヒーを淹れることを望んだりもする そういうもので、できている

「乾いた部屋にて / 蜃気楼」

夜がながい たとえば、たくさんの明かりの中で パスタを茹でずに まほうの夜をつくること (10分間を忘れられたら自在) 朝がはやい たとえば、ひとつきりの温度を抜け ポットの湯気に いつもの朝をつくること (10分間を忘れられたら自在)

「Happy to 蠢」

うごめけーうごめけー ますますますます うごめけー ぐいぐいぐいぐい うごめけー 今日も今日とてうごめけー 寝て起きてうごめけー 朝にうごめけー 昼もうごめけー 家ででうごめけー 街に出てうごめけー 草の上でもうごめけー 土の上、花の上でも、いいとこ…

「走れ、動悸くん」

跳ねている場合ではない、走れ 空回りしている場合ではない、走れ 走れ、動悸くん ここより息のしやすい場所へ 火照っている場合ではない、走れ 廻っている場合ではない、走れ 走れ動悸くん そこしかないってシーンへ

「溢れるピアノ」

鈍痛は長く 水中で明滅 汗、途切れずに深く眠る 蝋燭の火 煤の上がるとき 窓の外を見た 机の上 震える青は重く 崩れるゲルのようだ 鋭利な巻尺で朝の影を測ろうとする 盲目の犬 黒い鼻が頼りです 慎重な動きが糸を張っては跳ねた 窓の外からほのに降り注ぐ …

「サングラス」

その光を目を細めずに見つめる まともな顔をして 太陽と過ごすためです そのために光を遮る方が良いそうです 水鳥が濡れないまま浮かんでいる 水鳥であるように 固くならない程度に焼かれます、肉 溶けない程度に煮込まれます、じゃが ずっと 起きて/眠って …