「our age」
365
2021/07/07
滞留して腐ったはじめましてがいよいよ街に積もっている
まだ知らない地図は白く書き換えられる中
かろうじて清潔な屋根の下に団欒と緑が生まれている
今年も本当に始まった梅雨が、これが最後だとよい喧騒に蓋をした
雨が降っているが、まだ雨乞いのお祭りがくるそうだ
この土地の首長は尽き果てそうになっているそうだ
雨の中で透明になっていった形ないものたちは、一緒くたに融かされて、災いとして語られる
暦が進んでゆくので、地球がどんどん回るので、たとえば、火を焚べ続けねばならない、花瓶の花を取り替え続けなければならないようなことがあるそうだ
懸命を続ける人間に必要なのは声援ではなく、水と食べ物、そして休息であることを知った
私たちはむしろ会話したい
あまりに多くが過ぎ去って終わってしまったから、砂浜の白い骨みたいな臭気が漂っている街を、それでもぼくたちは散歩する
あたしい夏が来て、美しく消えることはできないわたしたちの、美しくはない日々をせかいの隅々まで積らせる
一緒にいれたり、いれなかったりする記憶の中を油絵みたいに重なって忘れて、ぼくら、いつか白くなる生き物をしている