朝ノオト

空想に遊ぶ

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「composition #2」

浮かぶ電磁球 不快な部屋は四角く黄色く たどたどしく風を動かす 土、土がある 箱の外に 蠢くものたちのことを想像せぬままに 閉じた五感はあまりに潔癖症の風だ 私たちには足が多くない そして湿っている 浮かぶ電磁球 なおも不快

「composition #1」

新しいアスパラガス 白がうねる タイルのような艶やかさ ポトリとペンキが垂れて 金属でできた楽器と何匹かの鳥が 乾いた庭を満たしている 水面には小さな曲線が生えて 音なく時を刻んだ

「音になる」

星を眺めて 首をひねった そこに必ずある中心に13回転 したころに昨日の街がない 玄関開けたら まるでUFO 望んだことない世界 昨日話したことは忘れている かたい椅子の上で 居心地の悪さを感じているおまえ 骨を恨むか、あるいは肉 動きたいことを忘れて、…

「PHYCHO」

心ないひと、心ないひと 食んだ季節の果実 夏虫の騒ぐ夕ざりに 鳴り続ける鼓動は単調 生きているもの、生きているもの 黄色いところが閉じてゆく 街は暮れ、行き交い、はぐれる 線路がスウっと切り離す 覚えず、冷えた紅茶を飲み干す ドアの外では干からびて…

「在りき」

悲しみは途中で見失ってしまって、ただ動かぬ体が残っている ネッシーはいた あるページが今は確実に存在している 心惹かれる、そしてはかない出来事の記録が綴られて、結論づけられる 示唆を象形する 形なき形、存在に耐えない存在、心から溢る心 典型的な…

「ガンダム」

飛んでほしい鉄 あちらで、こちらで 飛んでほしい、動いてほしい、光ってほしい かっこいいから、面白いから、何にせよ 力学、機械、現実 置き去りにして飛んでほしい 物語はもう幾重にも開始しているから 本棚の上で、テレビの横で、あるいはベッド下の箱の…

「呼吸」

夏草のびっしり生える日差しのそばの わざわざひとりの部屋で出会う 笑顔でもなくとも耐えるあいだであれど あえてニコリととくずして話す 取り立てていうほどでない特技について やけに惹かれて褒めすぎてしまう 鳴く虫の場所などかなりどうでもいいが 迷わ…

「エモーション」

ほんものの激情をみて ほんものの激情を考えて ほんものの激情を想像して ほんものの激情を吐き出して そのとき、 どこにいて だれのまえで どんな姿で 何をいって どうやって体を動かしているか わかる? ほんものの激情があふれだす あふれでている、まっ…

「play」

かなり多くのことが今やどうにもならないから 歌おう、食べよう、踊ろう 多くは求めないから 今は欲しいままに それでもやさしく生きていたいから 楽しい感じで、笑顔みたいなラインを保って 忘れられないから 忘れようともしない わたしはまだ、もう少し詩…

「大きい魚」

くらいみずのなか 手当たり次第に抱きしめて掴む輪郭 たしかであって、濡れている 今日はおまえだとしている 喚いても描かない受肉しない ゆえに抱きしめられない 震える体表を想像する 子どものころ裸足で踏んだ蚯蚓のこと もういない人を思い出す くらいみ…

「冷凍」

息を止めて体を硬めて 机の向こう、笑うあなたを遠くに見る 肺は何を吸うか 錆び付いている、砂嵐のように粗雑な密度である 接触が、萎縮し、疲弊し、動揺し 温度がひとつ、奪われた 想像が、帰着し、飛躍し、動転し 温度がひとつ、奪われた 何も吸えない、…

「25」

夏の糸 細く瑞々しくのびゆく 絞り上げて透過する (透明な水にある色の濃い液体が一滴落ちる。たちまち液は雲のように滲み、明らかに濁らせる。不可逆の変化、密接な反応。これは避けられない影響であって、最後の一瞬の後悔の原因であったかもしれないが、…

「途」

パスタ食べたからさ 大皿で食べたから、もう眠いよ 日曜日の午後、変な時間 あんよが上手 あんよが上手 雀が跳ねて 訳のわからぬ 言葉を叫び 子どもは駆けてく あんよが上手 懐かしい友は 初々しい家庭で笑う へいTV 面白おかしい世界を見せて このソファか…

「もへもへ」

くらがり、まどろみ、小さな吹きだまり 短い針が告げるから、 おれは大きく息を吸って広がる ふわり、ふらり、目を閉じたまま伸びる 目はない、知らない いちばん先っちょ揺らす 世界がひらけてきて、暗い 日当たり、せせらぎ、小さな生き物の巣 短い針が告…

「トウワタの花」

ベルベットのような葉を持つその花よ あなたが提げてきた花のこと ふっくらとした茎にはあまりにも健気な花を咲かせて 2週間は咲くはずと言っていた花弁は今朝、濁っています 肉厚の葉に垂れ下がり 忘れたくない週末がまた古びる 花瓶の中で温度が止まってゆ…

「朝がたの窓」

朝起きて、玄関ドアの上の窓から太陽が入ってくるのを見るのは好き。寝るのが好きだから朝を期待したことは別にないのに。それ以降はよく覚えていない。 寝起きの、まだ体が浮ついている頃にあの光を見ると、とてもゆるされているという感じがする。無意味さ…

「新機能の夜」

深夜に眠れず、3万円 湿度だって自由なのね 木曜日には、洗濯物が乾く、お風呂が乾く つかみどころのないこの梅雨の中でエイヤと洗った タオルが軒先でなされるがまま湿っていたのに 雷に焦り、取り込む、生活はたしかだったけれど 深夜に焦って何万円 今度…

「結実」

つまんだナッツが深夜の果実 最も静かな栄養素を湛えている 白い壁、赤土の記憶 暗闇に浸けたから、今は青白く 太陽の香り、月の色 手のひらで、いつだって居心地が悪い 地面がかたい、土が柔らかい たとえば全てひん剥いた後に残る裸 心臓を動かしているあ…

「ステイ」

ああ、 射精でどうにかならなさそうな感情を抱えているから、射精さえできずにいる どうにかなるのかならないのか、その時までわからない からそのままにしておく、シュレディンガーの感傷

「休日とTシャツ」

気温がよくわからないから、ぐったりしてやっと真夏日を知った 冷えて動き出す頭と体の変温動物のようで そういえば昨日はある2人の知っている僕がが重なって言葉を話していた 人は鏡と言うならば、僕を知っている、知らない同士の2人の像はどこで結ばれます…

「キッチン」

わたしは手のひらに集中して まな板の上でキノコを刻む イチジクの皮を剥く わたしは耳に集中して グリルの中の肉の音を聴く フライパンの油の温度を探る わたしは目に集中して わたしは鼻に集中して わたしは舌に集中して あるいは わたしは想像に集中して …

「熱帯と群衆」

室外機がキリキリと夜を同期する 離れ離れに供給され続ける室内が消費されゆく 暑くるしい窓の外を金魚鉢が覗く アスファルトはいまも熱を溜めて うごく綿毛のようで猫 緑はむせ返るほど呼吸を繰り返し 風がそれぞれの終わりをかき混ぜるから 夏の表面は溢れ…

「泉」

体がニキビを作るほど自然な動作で あなたは涙を流します あらゆる根がわたしから伸びてゆくので ちょうどよく隠蔽を続けます 美容室で体毛を整えるのとそう変わらない継続的な試みは 継続的であることにやはり肝があります 赤黄青どころではないカラーを 選…

「書くことがないことについて」

書くことがない 書くべきことがない そんなものはそもそもない 書きたいと思うことがない 生活をしているんだから、何かあるはずで、書きたいと思う気力がないのだろう 気力がない 睡眠は普通にとっているけれど、お昼ご飯はお菓子で済ませた 思ったよりも残…

「視」

私のところへ動き続ける座標をスマートホンで観察しながら メリーさんの電話を続けます ライブ配信される様子をYouTubeで伺いながら メリーさんの電話を続けます 熱愛報道が噂されるメリーさんの記事を読みながら メリーさんの電話を続けます 特定されたメリ…

「耳を噛む」

勢いあまるをみて 伸びわたる首筋が届いて 台無しに引きちぎりたい一瞬 傷跡は続いて エブリィモーニング覚えて いつでもハグして 歯、 柔らか 暖か 愛おし 間違えて覚えて

「家」

慣れぬ駅でもなんとかおいで 駅前の明かりのどれかでお腹いっぱいになるのもよいよ 疲れてしまった頭でもほとんど一本道 まっすぐくれば、いつものスーパーがあって、少しすぎたところに家があるから 机が3台に、椅子が7脚とソファがひとつ スピーカーとたく…

「民族A」

歌う、沈黙して電子の歌を 展開して、激化する なおも血生臭い祭り ありえない命が生まれて死んでゆく 電子で愛を交わし、ときに心臓を穿つ ありもしない命が交差する 触れた気持ちが生まれる 不可視の熱線に焼かれる 人々はなおも周密な動作を続ける 蠢く蟻…

「We saw the cats」

ひと気のない夜の道に猫が2匹戯れていたのをあなたと見ました あなたと歩いたことのない道で同じ猫を知っていました 猫たちはアスファルトの上で嘘みたいに柔らかく動く横を、なるべく等速度で歩きながら、わたしたちは讃え合いました わたしはあの夜に猫を…

「砂の城」

白い羽音がぶつかり合って 灰塵(もっと光子のように) 気になって手を伸ばせば冷たく積もる 毛穴が閉ざされている、侵入を許したいが あらゆる空気が痕跡を巻き上げながら 皆少し息苦しく、無自覚に継ぐ 視界は円形を維持して 転倒の最中が自由 恣意恣意恣意 …