朝ノオト

空想に遊ぶ

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「回転扉の数首」

日陰から冷たく丸い石集め 死に損ないの夏を越したい 思い出と交わせるものがありません 画面に映る私の笑顔 遡り気配の消えた通信に 冷たくなつた黒い板くれ そう君は時計をつけない緑のお酒 飲んだ夜はわざとでしたか 落ち着かず時はそらで計れないので 壁…

「ちょうどカレーのことだけ知らない人」

そんな人がいた さっきジャガイモを見てたいそう珍しがっていた インドという国も知らなかったそうなので、暖かく陽気な国と紹介した それはきっと良いことなんでしょねと笑っていた ライスでなくてナンで食べる場合もあると伝えると、白米もはじめて見たと…

「voice record #1」

いつだったか、昨日の夜か仕事の合間、 詩の朗読、を聞いた 洒落た映像の中に俳優がいて ゆっくりと、かなり気取った息遣いで、大袈裟な言葉を声にしてゆく これは芸術、という顔をしていたし、そうだと思った 無粋なもんでこっぱずかしく 穏やかな気持ちで…

「ソフトな生き物」

あらゆるこわばりがダセエと 力抜いたらタコになった やわらかいタコになった ぬるりとローファイ これはクール、タコだから いさかいない、恨みない、嫉妬ない 力抜けてるから、タコ こっちみてほら、 LOVE、お仲間? おれがノックして 這入る、2時のVase …

「レモンソーダ」

みずたま、たまたま、恋の味 通りすがった人がすてきよ この窓の外、景色が弾んで おや何も支えていない柱がかわいい ひだひだ、開けた、花が好き 経産婦と大理石がすてきよ 私とあなた、だけで足りてる ねえ、どこまで裏返らないで綺麗なの ハイカラ、カラ…

「八つ当たり」

水泡、聞ゆ 花咲く震え、あさき夢 底で、底で、息留めて かたや無粋な人の暇 鉄に似て、鐘 意味意味意味が鳴つている 無遠慮な拍子、やかましく 楽しき打つ手、かんかんかん 知りたる音とて新しく きけやきけやとふれ回る (何が面白いんですの? 何が面白い…

「まる飲みの詩」

雨上がりはつるり 新品の空気を吸って、はく 吐く息、まだ見えない暑い夜 明けない季節にひとり摂食 サクサクと冷え乾いたパンはいつのまに メリケンサック、コサックはマシマシ ヨード卵、卵、ヨード卵 殻を割って、雨上がりと、つるり 喉越しは、その喉越…

「双頭のからだ」

果てない、果てない 足りないからだにふたつの心 二枚貝よりも悲劇的な双頭のいのち わたしはわたししか、どうにかできないのに わたしだけでは、どうににもならない 果てない、果てない 足りないからだにひとつの心 冗談みたいに形ある双頭のからだ わたし…

「ペパーミントキャンディ」

食べたことのないその響きは爽やか 口には合わない気がするが そのことはペパーミントキャンディの素晴らしさを損なわない 晴れやかなまま、すり抜ける原因と結果 冷たいままで涼しくて Tボーンステーキは大きい肉だ ブルーハワイがどこか知らないままわかっ…

「ベイブレード的な」

青色がいい、赤もいい、尖っていたり、爪があると格好がいい 伸びるよりは光る方がよい、動くのもすごい ハイスピードなバトルだから いちばんのシーンが増えて見えてきこえる 硬いと強いし、まだ変形する 鉄の球も発射されるし、最先端の素材で包まれている…

「communication 」

色、おおく、形、おおく この景色のどこが軋みますか 縷々、流れ、やわい角が この熱はどこから伸びてきますか 見えている あまりに多くが切実に在る すぐに腐って、あるいは侵食する お互いが繋がりすぎている、いたいけな庭 音が光が振動が力が伝わるより…

「化ん」

愛う、愛う 眼然に構いてる 下ゲゲゲ外ゲ廨ゲゲ毛ゲゲゲ、雑破、ゲ訝ゲゲ絵ガ 心ら擦か above 湖、混、弧、こののの隘い 軽楽か曖昧に殴振して、 隘隘隘 繭身して、繭身して 暝停していた溶態だから生い 過ガガガ化ガ懸ガガ架ガガガ、圧多、ガガ価カ我ガ 晴…

「talk」

遠くうつろな街の日で 知らない景色を重ねた 暮れる世界、色を見せて あれ、これ、考えてる おまえの足跡 時計を見ずに話してた 夜はいつまで終わらない 狭く渇いた部屋に居て 好きな曲を鳴らした 忘れるから、声を出して ときどき、考えてる 夢とか幸せ 意…

「compsition #9」

私が私 青い竜胆の傍に、橙のひなげし 月と太陽 積読と散歩 コーヒーと砂 朝焼けと後悔 夜のハイテンションと干からびたパン ヤバい中華屋と地下鉄 目的地と心変わり 揺れるものとステンレス 滑らかな肌と熱い石 汗と布 目と概念 言葉とマッス 心臓と感覚器 …

「practice」

毎日、やってもバズらんし 目隠し、削っても too noisy 諦観し、txtに閉じた拡張子 だから→→→→→→首スイング 快適なonomatopée ぐいんぐいん フィッシュは泳ぐ 張力で揺れる水、重いがswim 実際、自在、ダサい、ヤバい、今以上 明細ない未来は眠い、所在ない…

「morning」

起きて、カーテンを開けたら、いちばん良さそうなところに運ぶ 土を眺めて、必要そうなら、水をやる また新しい葉が出てきている 毎朝のこと、 なぜならおれは毎日めざめるので 青ドラセナはドラセナではないと聞いたが なら部屋にいるこいつはなんなんだ? …

「発覚」

街の往来に一滴、青を垂らした メトロは朝の速度を落とさずに 靴の下で、嘘が枯れている 顕在を示す光線が撒き散らされている 色はあるが音はない 素通りを通過して、無抵抗な家に及ぶ 食べ損ねた西瓜の水分は伸長し 明日の地中を過度に潤す 揺れる、敏感に…

「micro」

いぼいぼと 分たれていながらつながっており ときどき毛が生えていた 分節があったために、表面は自在に波打ち、翻った ひとつひとつはいつしか死して ひとつひとつはお前ではないか ひとつひとつはまたも生まれた 裂いたら、血が出るか汁が出るか 塩気があ…

「Exposition」

赤い祭りが輪転する 血々累々、湧く湧く これは祭りなのである 隆起、命にふさわしい形だ 見ろ! それは別の記憶 穏やかな波と空、そして風を映した眼球 見開いて踊って回って失って 嗚呼、正体不明 (爆裂、霧散、溶解、浸潤) なんとおおらかな形か 湧く湧く…

「地獄変」

東の町で青年が死ぬ 死因は詩 ひとひらの言葉に届かずあえなく早死に 詩を夢見たがため、早死にに遭う 夕、一番おおきな言葉を刻み 朝、一番ちいさなさな言葉を呟く 彼が倒れたのは、一番親しい言葉を届ける最中 故郷の雨に、彼が濡れず 憧景の途に、花は咲…

「compsition #8」

わおわお いぬまみれ、ねこまみれ、けまみれ あわただしい匂いの糸くず、大きめの 手を顔をうずめて触るような エクスペリエンスを知ってるかい 太陽、軽快にねじれ脳の中へ 眩しい!愉快!人類の神殿! ここから、永遠までそう遠くない が忘れる、すぐ忘れ…

「指先」

ずいぶん寝坊の土曜の昼過ぎはもう手遅れで 適当に作ったスパゲティはずいぶんしょっぱく、冷蔵庫には野菜がなかった 先々週ほど前に実家から届いた高い桃が冷えて干からびていたのは上手に剥けた 今日は着替えてもいないから 母からの連絡が億劫で既読をつ…

「透明」

わたしのじかん 腕をこうして、足をこうして 頬の肉を引き上げて、眼球をあっちへ向けて それは箱の中 列柱、終わらない祭壇 日中、実らない会談 いぐぞーすと、いぐぞーすと 透き通っても 命軽くない 晴れた土に擦れて剥けた心 勝てない間断ない関係ないイ…

「compsition #7」

明ける性、怪(かい)っ! 這い寄って、涙を舐めて 歪(わい)、何のために生まれて 何をして、悦ぶ 教えてアンパン 最も近い愛情を想像します それはさまざまな形態をとるので極めて可愛いです 埼玉県民が躊躇なく故郷を田畑と形容するのを聞くとき そこには運…

「compsition #6」

先端で刺して、貫いて 塩気を帯びた汁 境界面は遊離した 回転扉でかき混ぜられて、振り回されて みな散り散り、さようなら 痛みはソリッド それゆえに同期する ここは耳、ここは腕 おまえはいずこ わたしが痛い 指が震える 肉体を代表して震えている 危うい…

「フラワー」

あるいはキノコ雲 ピカッと光ったときは 熱かった もわっと、粉まみれ そういうときはとても悲しい イライラと、ニコニコと 人生は続いて かしわ、といえば唐揚げ いつだってうまい 酷すぎる跡が残ってしまった だから時々泣いていた 全ての悪意をわかってい…

「composition #5」

首の後ろに柔らかい毛玉を据える 並んだ感触が寝床を描いて 夢の味を思い出す あらゆる倦怠はどこからやってくるのかと言うことを考えたい それは前向きなことなである気がするから おまえは疲れているが、きっとここよりも良いところからきたんだろう 死神…

「composition #4」

滑らかに風が吹いていますから 静かに水を注ぎます とうとうと 昼下がりのことを考えて いくつかのケーキなど ランプの明かりはまだ明るい部屋に混ざってゆきます ひと呼吸おいて、皮膚をさわります なるべくながく在るように からまりを眺めて 屋根の下に惚…

「composition #3」

木、かたい木 伸びる平面 古くなった靴下の中の踵 跳ねる遊戯を続けている わたしたちはいつからかいつまで 花がある、やわらかい花が 腕に抱えている とうとい、とても、あやうくて 湿った土と森の中 か 室外機の風 正体不明の帰り道に 途切らせない うずく…