朝ノオト

空想に遊ぶ

「眼球綺麗」

289

2021/04/21

 

 

両の目玉をくり抜いて

この春、最初に咲いた青い花を浮かべた鉢に沈めます

耳を澄ませていれば、重力が落ちてきて全ての音が止む瞬間が来るので、眠ります

夢を待ってください

 

上から下までの歯が鳴ると

右腕が風に靡くので空を高くする

飛行するリスが描く図形を食んで

汗ばんだ背中が顔面を覆うと息苦しい

 

全ての断片が多すぎる信号を送るから

背骨を引き抜いて、柔らかい肉を原っぱに横たわらせた

わたしはすぐにいなくなって

虫になり鳥になりもっと小さな生き物になる

 

変身、変身、変身

汗ばんだ暗い鳥籠の中で窒息しそうになって目が覚める

 

鉢に冷たい眼球が浮かんでいたので、手さぐり、顔の窪みに押し込みます

花はなくなっていて、柔らかい木々のこちらでカーテンは朝日と揺れていました

 

窓の外では鳥たちがついばんでいる

静かに盲人たちはゆく