朝ノオト

空想に遊ぶ

「この白く薄い部屋の反響について」

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2021/05/21

身を振れば、涙のような鳥たちがこぼれる
誰にも気づかれたくない時に、鮮やかな彼らはそういう生き物であって、にぎやかに鳴く

息苦しく希薄な1年間の部屋の中で
出来事は反響し続ける
落下するペットボトルはまだうるさく
友人はこのまえ死に、テーブルにはたのしい食器が残っている

何を見ても何かを思い出している
部屋の白い壁には同じテクスチャーが張り付いており、なににも届かない
感動はいつも新鮮な神経を刺す

週に3度訪れる機会を待っては鉢植えの植物みたいに見送る、日が沈んで、くり返す
危うい凪には鳥たちがこぼれ、鮮やかで、賑やかに鳴く