朝ノオト

空想に遊ぶ

「自由」

326
2021/05/28

右から左までTシャツをすべて、きみは選べる、クローゼット、隙間風が吹いて、布の匂いがする
柔い肌、袖を通し、夜が明けるころは冷える

両手いっぱい、オクターブを鳴らそう、チューブを絞ってあの色を見せて、歯を磨いたらすやすや眠ろう
自由は言葉のまま冷えて、音のならない針、午前3時を指している

あのショーウインドウは見えないことに、あの街も、人々も
届かないものと、わからないものと、知らないもの が煩い

ありったけの卵と砂糖を買い占めよう、並んだ青色も全部、持ちきれないほど全部
分厚い肉、知らない料理、あの映画、この指先でさわれる
今日は、今日は、多く

(一本の線を引くことが億劫で、一行の文字が遠い)
(一度の切り込みを入れることをためらい、一言が詰まる)
(一つ、溜め込んで生き延びた気がしている)

昨日のように喜びを知っている
朝の光とか、楽しいとき人を撮ること、外で飲んだり食べたり、気兼ねなくかく汗
10分後、1時間後、ひと眠りしたあと うれしい まだ針の過ぎていない時間を吸い込む