「まわる」
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2021/06/01
この日々の中で指輪を作りたいと思います
あなたのその指で光るお守りみたいなもの
そのために着々と輝きを紡いで伸びてゆくけれど始めと端はいつも
つながらないまま交差した
今は少しだけ上方にいてあの時のようにはできない
一つ息を吐くたびに新しい季節にすり抜けてゆく
いつから本を読み始めただとか、美術館なんかに行くようになったかだとか思い出せない
ここに至る細かいことがよくわからない
たとえば、わたしを初めて美術館に連れて行ってくれた人をもっと大切に思いたいのに
たどる指先、また浮いているイメージをかすめ、まわる、まとう