朝ノオト

空想に遊ぶ

「よかぜ」

344

2021/06/15

 

 


無重力、水槽の中、凪いだ雑踏のなか往来は一つひとつきこえる

上野の木は黙って膨らみ、蓮は上を向いている

 


夜空よりも本郷方面は輝いて、此方にはアパ

なんとなくをめざしてわたしたちはここにいるような気がするので、この広すぎる池のそばの道が好き

 


体温よりもほんの少し冷えた風がきっと道に沿って吹いて、夜にいる、がある

真っ暗になった純粋な街に明かりの下、池のほとり、風の吹くところ

 


いくつかの帰り道と、開いた窓の明かり、日が落ちてからすっと冷えて、木はまた少し膨らんだ