朝ノオト

空想に遊ぶ

「濃い」

 

グラスの中にさくらんぼが水面を揺らす

重いミルクと秋が混ざったみたいな色で夜にいる

複雑さ、草を食んだ生き物の生み出したものや、たくさんの植物の果てと死の堆積

 


特別な飴をあげたい

持ち運べるほどの、甘いものを固めてあなたの傍へ

複雑なものを探して集めて固めて

小さな部屋の中でも地球を回すような一粒を

 


また、濃い色彩がどこかで揺れる

グラスの中で、窓の外で、海の上で、まぶたの裏で

 


たとえば同じ夜があなたの中にある気がするのです

得体の知れないものたちが見せるその光を

どう伝えたものかわからないけれど