「病める祭壇」
十ある箱の九つまで満たされれば、ひとつ足りない
道があるのなら尽力が足りず、馬であれば速く駆け、鳥であれば美しく鳴くこと
種があれば花は咲き、願いは叶えられねば嘘である
轍は道となって然るべきで、常に最短を往く
(人であれば、人であれば)
東西南北、右と左
生物と無生物、概念と具象
わたしとあなた
完了と未完了、完全と不完全
(気持ちのよい欲望はここ)
多く箱があります
たくさんの箱を貰います
生まれてから少しずつ、丁寧に、それはあなたの祭壇ですと
(開けてゆくことを望んでいる、失うことではない気がするから)
まだ見ぬ場所をゆく人の戯れに蹴りとばされている石を見送る
今日の日は晴れ、忘れてしまった箱の中身を思い出さずに草を見る
地面は乾き、あらゆるものが小さい
遊牧民の歌がよい、わたしはここにおり、動くものが心地よい