2021-04-02 「町」 毎日の詩 ワンシーン 町はうごく、僕がうごかないときも、こうして 春は来たのかも知れない ふたりがゆく、自転車がゆく、小さな鳥がゆく 白い光の下、建物のそれぞれが町である 息をして、窓の中のそれぞれを満たしている 少し疲れて、山は、構造物は影を伸ばして沈みゆく 光は解けて夕暮れの色を空に広げる そうしたら夜が来る 僕らの地殻はまだ静かに動いて、ゆっくり冷えてゆく 山の向こうに光を残して太陽が消えたころ、今日の鳴動を終えた 遠くを見ている時、脳みそに音楽が擦ってゆく 建物に明かりがつき始めて、指は冷えていて その時に、その時に 寄りかかる 向こうに町が息をしている