「犬っぽいゆうれい」
緑の夜をのすのすと
白っぽいゆうれいは進む
名前のついていない愛嬌と不安とを振りまいて
誰もが実は気付いてる
犬っぽくてひんやりしてる
皆はかりかねた感情と誤解を見過ごして
犬っぽいゆうれい
あまりにでかい
犬っぽいゆうれい
有無を言わさず無邪気なまま
犬っぽいゆうれい
(目があった)
いつのまにか私たちのもとを通り過ぎていった
その背中を、痕跡を、結果を見つめることはもうずっとなくて
(名前のないまま、結果のないまま、記憶のないまま)
犬っぽいやつはまた彷徨い続けている