「銅板」
表面に髪の毛のひとつひとつの無意識が傷をつけてゆくのを雲に名前をつける要領で愛します
時間が経つと多くのことをしながら呼吸を多く繰り返すために空気に蝕まれていきます
想いを込めて刻みつけた言葉や遣った目線もありました
生きているので表面はいつもさらされていました
テクスチュアが生まれています
これは私たちの文脈、物語と呼びたいもの
テクスチュアが生まれていました
晒されていた肌に絶え間なく
宙に舞うビニール袋に生き物をみました
揺れる梢の影が光の流動性を話しました
触れたビロードにかつての犬がいました
テクスチュアを想うことにします
雲は消えて、ビニール袋は吹き溜まって、梢は止まり、犬はもういないことをわかったまま
繊細な表面がわたしをみつめている気がしたので
わたしは背筋を伸ばして歩いたりしました