「月を撃つ」
311
2021/05/13
静寂は何か足りない様子で、光には遠いあたたかさを想像する
積み上がり続ける本にもたれて日が沈むのを待っている
時折、定められた機械のように食べたり休んだりをしている
等速度運動に惚け、忘れていたころ
空を仰いで思い出して吸い込んだ
透明頭蓋、澄んだ薄明かりの丸い丘の上
月を撃つひと
ぱん
底なしの空へ飛んでゆく
瑠璃色とパープルのあいだを光沢する水面
(結果が融けてゆく)
ぱん
月を撃つひと