朝ノオト

空想に遊ぶ

「エーテル」

 

遠い昔のこの星のまだ余りが多かったころ人は

 

大陸中にレールを敷いて乗り物を走らせ

町中に管を通して水やガスを隅々に巡らせ

空にはワイヤーを渡して電気を流した

電子的な糸電話は解かれて、かわりにあらゆる地点が繋がれた

 

孤独はみなにゆきわたって、星は夜

かつてなく明るく輝いて、それからすこし経って、広くなっていった

 

白熱した土地の多く、我々もまだ人間である

いくつかのコンクリートの上を通過した時、いくつかの複雑な温度を失った

 

杯の液を傾けるとき、別に言葉を発するな

鉄の弦を鳴らすとき、別に言葉を発するな

その体を撫でるとき、別に言葉を発するな

 

時が満ちているところで息をしろ