「定点観測」

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2021/04/30

本棚のそこにある背表紙、横で見つめる仮面の目、最寄駅のホームから見える広告、車窓からいつも気になっている建物、たまに見かける小さな蜘蛛、17時に聞こえてくるチャイムとアナウンス、いつも掃き掃除をしているおばあさん、高架下のタイルの廊下、若い人たちが夜中にブレイクダンスをしている

ジムと同じビルにある行ったことのないジョナサン、夜ごと行列になっていた近所のもつ焼き屋、やたらと手際のいい背の高いスーパーの店員さん、木造アパートの就寝準備、22時に響き始める引き戸の音、足の短い猫、煙突が見えている熱いと噂の銭湯、通りでインド料理屋の主人がまた空を眺めている

月曜日のごみ収集の声、それより先に鳴く鳥、異様に声が多い鳥、登校の声、少し乱暴に閉まった扉、急ぐ足音、遠くで泣く子ども、はしゃぐ黒人少年のLook at me Papa! テイクアウトできるらしいペルシャ料理、白昼には爺さん婆さんがたくさん歩いて、10時くらいに最も明るくなるカーテン、3時間おきくらいに運送屋のトラックがバックする音、窓を開けると知らない植物がまた伸びている