「思い.docs」
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2021/06/24
たとえばすべての生き物に対して同じくらいおそれや愛情を持っていたとしたらどんな人間にうつるだろう、どんな気持ちだろう
やけに美しい小鳥をおそれる人間だなあと朝のあなたは不思議がるかもしれない
大きな犬にも怯えずに撫でにいく勇気ある動物好きに見えるかもしれないし、
幼稚園児にも物腰低く、あるときは、偉い人に対しても案外リラックスして話す人に見えるかもしれない
すべてを恐れているのに何も恐れていないように思われる気がする
すべてを愛しているのに何も愛していないように思われる気がする
何度も季節を周り続けると、すべて以外と呼べるものは少ないことがそのうちわかってくる
そのことにかなりがっかりして、白っぽく均質化した薄味の世界をぼんやり転がす日々が来る
そして、長らくの退屈の中で、白っぽいそれぞれが形あり愛おしいものだと、そう云った楽観が、胸のあたりの肉や背骨に成ってゆく
その実、多くの人が白っぽい世界ですべてを見ているとして
すべての中の、1人たるあなたを、1羽たるその鳥を、1匹たるあの犬を、、、みているとして
そのひとつひとつのおそれや愛情は毀損されないということを言いたい
そのひとつのおそれを言いたい、同時に、そのひとつの愛情を言いたい
さまざまな方法で、例えば、はないほど
そのひとつのおそれを言われたい、同時に、そのひとつの愛情を言われたい
さまざまな方法で、例えば、はないほど
すべてはおそれ、愛すべきもので、すべてはあまりにも白っぽく、すべてはあまりに退屈なので、わたしははやく、できるだけずっと、それぞれを思い知っていたい