「案外、大人になれない」
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2021/07/02
朝は早起きして散歩する
その足でジムに向かって汗を流したら、シャワーを浴びて、朝食をとる
淹れたコーヒーを片手に本を読んでゆっくりしてから仕事を始める
という計画を紙に書いて壁に貼ったりしているが、夜はなんだか眠れないし、朝は眠いので、まだこの街の早起きを知らない
お風呂を沸かしている間に畳もうとしていたタオルはかれこれ1週間も机の上でよく乾いていて、結果オーライ、生活が続く
理解のある彼くん彼女さんは今日いなければたぶん明日もいないくて、毎日はしっかりと繋がっているらしくお腹周りにはちゃんと日々が溜まっている
さみしさとはこういうことかと文学にもできないまま、観葉植物が増える部屋に寝転んでペットが飼える賃貸をさがしている
アラウンド30、声変わりは穏やかに継続し、落ち着いた低い声で話せるようになると期待していたけれど、おどけて、テンパって、いまもピーチクパーチク、うわずって、疲れ果てた頃に落ち着いている
洗面所の鏡の前のわたしはまだ緩い顔つきをしている気がして、しかし肌は生きているという感じのディティールを帯びてつまり古くなってきている
27歳には傑作を残したいと思っているが、まだ詩がなんなのかもわからずこうして長々と書いては原稿用紙1枚足らずの言葉を誰かの人生に刻みつけたいとまだ思っている
想像していた大人になれないまま20余年を生きてきて、焦る、心折れ、憤って、人に優しくしたいと思うようになった、後悔はない、記憶力は落ちてゆくらしいので、この調子でよく覚えていない間に優しいおじさんになりたいと思う