朝ノオト

空想に遊ぶ

「深い水」


大きな声、小さな声

優しさみたいな表情や、誠実な息遣い

感覚を振りまく手振りに、自在に飛んでゆく視線

 


形変えゆくわたしの肉は

深い水の中に響くこともない

伸ばす足がいつまでも着かない

 


黒い水は喜ばない

純粋な速力に揺れる

旋回する硬質な機構にかき回されて

 


黒い水の中、その座標を知らない

黒い水の中、その意味を知らない

黒い水の中、この声を知らない

黒い水の中、この体を知らない