朝ノオト

空想に遊ぶ

「夜天には月」


景色にべったり黄色い光を

緩慢な時間を平行光線は殺して鞣す

 


滑らかな地上に月が落ちる

縫い付けられたような現実が訪れて

あらゆる歴史を台無しにする

 


私たちはそれに安堵する

私たちはそれに慟哭する

私たちはそれに困惑する

私たちはそれに驚嘆する

私たちはそれに焦燥する

 


私たちはそれに出会う

 


底を撫でる歌があり、凹凸を確かめている

取り返しのつかない痕跡の上

ゆっくりと反響を移ろわせながら、歌声は続いてゆく

 


鎮んだ夜が冴えわたったとき

私たちはそれに出会う