2021-03-19 「夜天には月」 毎日の詩 景色にべったり黄色い光を 緩慢な時間を平行光線は殺して鞣す 滑らかな地上に月が落ちる 縫い付けられたような現実が訪れて あらゆる歴史を台無しにする 私たちはそれに安堵する 私たちはそれに慟哭する 私たちはそれに困惑する 私たちはそれに驚嘆する 私たちはそれに焦燥する 私たちはそれに出会う 底を撫でる歌があり、凹凸を確かめている 取り返しのつかない痕跡の上 ゆっくりと反響を移ろわせながら、歌声は続いてゆく 鎮んだ夜が冴えわたったとき 私たちはそれに出会う