朝ノオト

空想に遊ぶ

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「自由」

3262021/05/28 右から左までTシャツをすべて、きみは選べる、クローゼット、隙間風が吹いて、布の匂いがする柔い肌、袖を通し、夜が明けるころは冷える 両手いっぱい、オクターブを鳴らそう、チューブを絞ってあの色を見せて、歯を磨いたらすやすや眠ろう自…

「幻と線」

3252021/05/27 詩を描こうとしていたのに何故、この手は絵を描きますか スマートフォンに映るゴシック体の記号では潰れたペン先のように白い紙を塗りつぶせぬ 意味意味意味意味意味意味意味意味意味意味意味意味意味意味意味意味意味意味意味意味意味意味意…

「光」

3232021/05/25 どうすればこの世界がもっと透明になって表面を照らすことができるかばかり考えている色彩が空間を描き、光沢と乱反射はのびのびとしているような広場に遊ぶ わたしは美しさを見た 朝よりも少しだけ美しい光を鳥の音よりも瑞々しい響きを春の…

「包むスターチ」

3242021/05/26 加熱され軟化、いわば嚥下して、ええわとろろ、勿忘、抱擁を継続するからだは いわいわいわ、たゆむ、石滴る、線が横断し蒸発したよここ、ここ、アスファルトの葉脈を辿りあなたの夢を湿らせた朝、窓の音を集め花咲かす 攪拌して嬰児、繰り返…

「田中」

3222021/05/24 それ田中、そう、それ田中、それは田中田中、だよ田中、みて田中、みて、光ってる 青い田中、少ない田中、明滅する田中、明るい田中 それは枝、それは田中、西に行って田中、朝起きて田中、おもむろに田中農耕して田中!農耕して!田中!田中…

「悪夢」

3212021/05/23 ベッドが逃げたので三日三晩眠らずに追いかけましたなんせベッドがないので眠れないこのベッド以外に眠るところを持っていないもので失ってはならないと分かっています お隣さんは浴槽が逃げたそう大通りには観葉植物が駆け抜けてゆき、角で本…

「社割で女を抱く」

3202021/05/22 都会では社割のレストランで女を口説く男がいるらしいこれはダサい ところでわたしは何を食べても育つ1キロ500円の食べ飽きたむね肉も、銀座で食べた焼き鳥も体を作るYouTubeで見たフレディのピアノも、3年越しのハグも心を歓喜させた わたし…

「この白く薄い部屋の反響について」

3192021/05/21 身を振れば、涙のような鳥たちがこぼれる誰にも気づかれたくない時に、鮮やかな彼らはそういう生き物であって、にぎやかに鳴く 息苦しく希薄な1年間の部屋の中で出来事は反響し続ける落下するペットボトルはまだうるさく友人はこのまえ死に、…

「とかとか」

3182021/05/20 宇宙とかそういうの長い長い退屈があって夜の空はこんなに静かで、その上は空っぽらしいのできっと2兆年とかそれくらいの退屈があっていまはわたしがいる何かがあるときたぶんそれ以外があっていまはわたしとそれ以外がいる わたしとわたしで…

「言葉2」

3172021/05/19 ニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニャオニ…

「暗いところ」

3162021/05/18 溢れそうな暗闇を聴いて、おまえ潰れたトマト、くさい草などの入力があって、それは嘘 裸足で歩く、口を開け、手を振り回した、そしたらどう標識はないのさ、目眩がしているimage、image、image 溢れそうな暗闇を聴いて、おまえ嗤うハグキ、垂…

「結実」

3152021/05/17 PM6時ごろカバンに詰めた人生を役所に寄付する人ワンルーム、同じ町で首を括る人隣の部屋に宅配の人が息を切らせて、その実、流行り病に怯えている 呼吸するたび人生は膨らんでぶら下がる止められない引き返せない体大した瞬間ではないが、弾…

「ルル」

314 2021/05/16 材料を踏み躙ってから調理を始めるような 首を裂き、心臓を刺してからトリートをはじめる 巻き戻らないことを笑っていいよ ルル、君のこと愛しているよいつまでも 叩き割ったグラスに注いでくれるような お肉になった牛を愛でたり、鞣された…

「experiment 03 : free line」

313 2021/05/15 1 深夜に月の話をするときに思い出すのはクロワッサン 三日月という意味らしいその言葉は、そこに浮かんでいる欠けた星のことよりもむしろ、バターの香りと塩気やサクサクとした感覚を呼び起こす 塊のあるチョコレートを包んでいるととても良…

「小麦」

312 2021/05/14 混ぜて捏ねて伸ばして切って包んで焼いて茹でて食べて寝て、などして戯れ 手のひらに触れる粉、まとまりになりいつのまにか耳たぶに、30分眠り、おやすみ 水と温度と油とこの手と鋭いと広いの鉄と知らない時間とあるいは息をして変わるよ お…

「月を撃つ」

311 2021/05/13 静寂は何か足りない様子で、光には遠いあたたかさを想像する 積み上がり続ける本にもたれて日が沈むのを待っている 時折、定められた機械のように食べたり休んだりをしている 等速度運動に惚け、忘れていたころ 空を仰いで思い出して吸い込ん…