朝ノオト

空想に遊ぶ

「有形と恋愛」

 

もう少し歩いて

あのビルの影を越えると眼前に、出会うから

空に溶けるかつて広告塔だった躯体

 

果てない青の深さに、わたしがいつも望んでいるみたいに乱反射する

あの体は光の中で重さを失ってゆくのだと思う

金属と構造、時間の中に静止する体は傾いてゆく空に混交する

 

わたしはあなたに憧れます

 

きっとわたしがどんな気分であっても、空がどんな色であっても

あのビルの影を越えたところで、軽やかなのでしょう

溶けている、消えることなく、

あるとき太陽に灼かれて白熱を帯び、

あるとき北風に凍てついて曇天に染まって

それでも、なお

 

わたしはあなたに憧れます