朝ノオト

空想に遊ぶ

毎日の詩

「最先端」

ここが伸びるところ、濡れている重力 未確定の雫は透明で、まだ言葉を帯びることはないまま光を屈折させる 刹那に一滴が落ちてって形が露わに 緑の張り、晒される肌、くすんだ石灰質 雨降れば惜しみなく滴って光がつながる ゆらゆらと、胸の方へ ずいぶん遠…

「歓談」

すかきーとでったらい いりやくいる いりやくいる あららい まほえいあ くったね まーひいよ あだだあ ういい 歓談、歓談、歓談、 !!! { 屋根の下 塀の上 星の時間 眩しいところで 羽のある生き物 そうでなくても 声のある生き物 そうでなくても } e.g. )…

「introduction」

あなたのはじめましてを頂戴 知らない街を、友人を 形を、言葉を、曖昧を いちばん素敵な思い込みで染めて 恣意恣意恣意恣意 避けられないなら愛しかないでしょ 込められるならば思い切り 動いている車、黄色い車、追いかけて、後押したら、さようなら あな…

「目メ」

見ている 食いしばる歯の重なる力を 見ている 溢れはしない言葉を湛えた血色を 眼球は綺麗、空気に染みて、あなたの断片を拾う 語尾が、香りが、距離感が、肌色が見える わたしは見ている全霊でいて 一つ腕を振ると見える 歩けば、抱きしめれば、向き合えば…

「明日と花」

声と闇、白い気配、雲の向こう /渇ききって罅割れる肌 遠く鳴って生まれている /命にとっての愛であった形は固定され、もう薫らない 湿気を帯びて潮風が撫でてゆくのを瞬きもせず待っていた /甘い蜜は、指先の鮮やかさは疾うの昔に使い果たして眠った 曇る空…

「パフェの詩」

知っている、とても素晴らしい食べ物、そういう名前だし、甘いし、良いところで食べるし 鮮やかさと真空、ガラスに積層される果実とクリームが今日の夢の色だと思って背筋を伸ばしたくなる 銀色のながい、控えめな匙にわたしがいる 掬いひとすくい幸福、現在…

「あまい」

せっかくやわいにじむしふくこうだ 痺れるような指先までを深夜に浸す 解けた言葉は容易に触れて、記憶しえぬよろこびを ありし記憶は記憶を呼んで一箱のこの部屋は満ち満ちた 映る像、人々は凪いで一つ一つは美しい、生きていた、生きている しびるいきから…

「融ける」

ガラスはある声を通してから透明だけを残して消えた 時計の針は静かになって深く青い場所を示しているのでわたしは愛のことを確信している 寒い空に震えながら子守唄を歌う人がいる そんな途方もない試みに感謝をする人がいる 夕闇の凍えない洞穴があって 繊…

「Identity」

徒歩 ウォーキング ごとに新しい足とそれ以外 わたしはわたしはわたしはどうです 今日の街の中で、新しい服の中で わたしは知らないけど良い 犬 ドッグ 先駆ける心と毛の体 わたしはわたしはわたしはどうです 向かいの席から、傍らを歩いて わたしは知らない…

「蛇口」

花が枯れてゴミが溜まり顔には脂が浮く 起きていれば疲れ、寝ていても辟易とする 椅子は硬く、食事は重い 労働は長く、一日は短くして終わってゆく 生まれれば痒く、もの思えば眠いので、薄暗い部屋で光を見る 足りぬもの溢る常世 欲望にサブスクリプション …

「objection」

実像、クリーミィに晒し出して まとわって、かぶさって、飲み込んで、まだ ゆたかに溢れる輪郭、こんなになって 透明になっている気になっているのはあなただけ dancing with 平坦な道 明るすぎる時間 不用意に開いたところから這入って 空っぽになっている…

「夜天には月」

景色にべったり黄色い光を 緩慢な時間を平行光線は殺して鞣す 滑らかな地上に月が落ちる 縫い付けられたような現実が訪れて あらゆる歴史を台無しにする 私たちはそれに安堵する 私たちはそれに慟哭する 私たちはそれに困惑する 私たちはそれに驚嘆する 私た…

「巡廻」

お月様とハグしたもんで 街はざわめいてビルが揺れる 青い光が真下に影落とすころ 景色はもう足りなくなって どこまで歩いた 音のない水面は映えて そこに手紙を、すがた揺らす 暗い部屋、茶けたカラー 白む空、濁る水を振りほどいて 朝を見る

「ウルトラマンの人」

あの人はウルトラマンの人 薄い布の中でひとり考えている ふぉっふぉっふぉっふぉ 見えない腕の感情を振っている 届かない表情を向けている ふぉっふぉっふぉっふぉ 銀色の肌が不思議に色めく ダブついてなお体温が伝う ふぉっふぉふぉっふぉ

「experiment 01: repeated phrase/body」

フレッシュな知覚がある フレッシュな知覚がある フレッシュな知覚がある フレッシュな近くがある フレッシュな近くがある フレッシュな近くがある ふれssゆなちかうがあつ フレッシュな近くがある ふれdしゅばちかくがあつ ふれしゅなちかくがある フレッシ…

「white, dry and smooth 」

四角い箱は白い 窓から光が入ってきて 影を吸い込んでいる 人の声が聞こえる 何度も反響して意味がなくなっている (雑 雑 雑 雑 雑 雑 雑 雑 雑 雑 雑 雑 雑 !) 浴槽の中で新しい塊が動いている 赤い、ぬるい、狭い、みたい 乾いた風が流れた 任意の形を入れ…

「いる」

終わるのが惜しいほど元気な日の夜の よく眠った明日の朝にいる もうやめようと疲れた所在不明の日の夜の 眠り落ちた明日の朝にいる 明日こそはと今日をひとつ諦めた日の夜の 眠れなかった明日の朝にいる 目が覚める多くのしるしに触れた日の夜の やはり起き…

「とても体調がよい」

朝起きると体が動くこと カーテンの向こうから太陽が差し込んでいるのがわかる シーツを干すには絶好の日が始まっている 歯を磨く、寝起きの紅茶を飲んで、服を着替える、どんどん良くなる、鏡の前で髪を触る 天気が良い、突き抜けそうだ その青色の下、鳥な…

「ピスタチオ」

割ったらおいしい緑の実 どこからきたのか緑の実 名前はきっとピスタチオ アイスで美味しい緑の実 ケーキで美味しい緑の実 チョコで美味しい緑の実 やっぱりそのまま緑の実 割ったらおいしい緑の実 名前はきっとピスタチオ

「ななめめ」

斜め上をみる 青白い空、月が白い光でいる 斜め上をみる 街が止まって、鳥と太陽が動いている 斜め上をみる 静止して多くをみている(考えてはない) 斜め上にある 斜め上からくる 斜め上をみている

「ナポリタン」

柔らかすぎる麺 甘すぎるケチャップ 関係なさすぎるナポリ 多すぎる玉ねぎとピーマン、ウインナー 煮込みすぎるトマトソース まぜるまぜる、まぜるまぜる あまりにあまっておいしいナポリタン

「点描」

よるよる、毛ののびる 泡の時間にぬるく風ぬれて 生き物のあくびが集まってうかぶ 四角い足でたって 冷たいところを触ってまわる 月明かりに影の形を変えてあそぶ 天井がうすくて波うつ おまえがぼんやりする間、物語がうまれる まっすぐの視線は飛沫を抜け…

「すいすい」

バイクが走る 枝が伸びる 音が響く 犬が歩く 猫が眠る わたしが動く 明かりが灯る 家が憩う 食器棚が賑わう 家電が回る 机が広がる 生活が続く 空が流れる 光が流れる 時間が流れる 子どもが走り 人が流れる わたしが過ぎる 朝が来る 季節が来る 何かが終わ…

「メイキング」

手紙を書きます セピア色の紙と写真 鳥を飼おうと思います 息をひそめて 人類の明かりに気づきました 青い鳥が翳らないように 何も見ませんでした わからないまま話しました うわごとのような希望は継続して 炭酸が抜け切った水を忘れて私は また空を広げて…

「彩々」

明らかに硬くて滑らかな表面に色があるから存在は高揚する 濁らない光を弾いて断面に赤く燃えている 渇望としての破片の可能性を抱えているから硬くて軽い 今日濡れて、明日濡れて、明後日も濡れる 今日乾いて、明日乾いて、明後日も乾く 日々日々日々日々 …

「眠い花」

窓際、レースのカーテン 光解け、壁が白い たっぷりと溜まった水 それがゆれるところに飾られて眠い ここにいてわたしとてもきれい 聞こえるような見えるような静けさがある 絶たれた葉脈はまた少し吸い上げる 時は頭をもたげていって眠い (あなたたちの知ら…

「雑貨」

大きな窓の明るい食卓 用意された昼食みたいにくり広がる歯並び その楽器みたいな気まぐれが大好きだよ 冷凍保存した歓声を眺めることはしないで 音や光、太陽や虫、腐るものや形態と連れ添って死なないで あなたは白熱球の生き残りで本当に熱い光 この空の…

「揺れる」

AM1時、牛の鳴く 均衡の取れた部屋が揺れる 写りの悪い写真を見るおまえの裡 AM1時、犬の鳴く 意識のない肉を掴む 遠い風の柔さばかり想像する AM1時、蝦蟇の鳴く 繰り返し退屈をする 贅肉と積読、何かのポイントがたまる

「深い水」

大きな声、小さな声 優しさみたいな表情や、誠実な息遣い 感覚を振りまく手振りに、自在に飛んでゆく視線 形変えゆくわたしの肉は 深い水の中に響くこともない 伸ばす足がいつまでも着かない 黒い水は喜ばない 純粋な速力に揺れる 旋回する硬質な機構にかき…

「毛布」

毛布にまどろむ皮膚がある とけゆくものに しずみゆくものに わすれゆくものに ことばはいらないです すばらしい夢なら今際の淵まで覚めて見たい すばらしい夢なら純色のまま果てたい ことばはいらないです 朝がくると、わたしはひとりで目を覚ますことがあ…